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遺留分侵害額請求権(遺留分減殺請求権)の消滅時効

 「遺産分割 時効」というキーワードでGoogle検索すると、上位に出てくる解説サイトの情報がかなりの割合で間違っています。

 中には、【遺産相続の時効は、相続の開始(被相続人の死亡を知ったタイミング)から〇年間です。相続の開始を知らなかった場合には、遺産相続の時効は相続の開始から〇年となっています。】という内容の記事を掲載しているサイトさえありました。これは、遺留分侵害額(遺留分減殺)請求の時効と混同して誤った記載と思われます。相続そのものに消滅時効はありません。

 そこまで大胆な間違いでなくても、遺留分侵害額(遺留分減殺)請求権の消滅時効について、「死亡を知ったとき」または「遺留分が侵害されていることを知ったとき」から1年で消滅時効になり、被相続人が死亡してから1年経つと時効になってしまうと断言しているサイトも少なくありません。

 実際には、遺留分の請求権が消滅時効にかかるのは、その双方を知った時から1年です。つまり、死亡の事実は知っていても、遺留分の侵害の事実(遺言の存在など)を知らなければ、1年の消滅時効は進行しません。

民法1048条(旧1042条)
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

 一見簡単に見えることでも、重要な問題については、ネット検索で済ませずに、専門家に相談していただければと思います。

投稿者:

弁護士 澄川 圭

神奈川県弁護士会(旧横浜弁護士会)川崎支部所属。企業法務、倒産事件、一般民事事件及び家事事件。英語関連の業務(英文契約書等)も取り扱っております。