求人情報サイト・人材紹介業者利用の法的トラブル

求人情報サイトや人材紹介業者の利用に関するトラブルが多く生じています

 近年、人手不足ということもあり、求人情報サイトや人材紹介関連の法的トラブルが多く起きています。具体的には、以下のような例があります。

1)無料求人広告の事例

・無料で求人広告が出せると言われて掲載したが、契約書に小さい文字で「〇日間経過後自動的に有料契約に移行します」と書かれていて、後になって広告費を請求された。

こうした事例では、利用者から求人サイトに「費用がかかるとは聞いていない」と連絡しても、「契約書に明記されているではないか」などと大声で支払を求められたりもするようです。そして、請求される金額が比較的小さいことも多く(15~30万円程度)、利用企業側でやむを得ず支払ってしまうこともあると思われます。

しかし、状況によっては、利用者側で、詐欺取消、錯誤取消や公序良俗違反による無効などを主張して支払を拒絶できるケースも少なくありません。実際に、弁護士から求人サイト側に通知を送って支払を拒絶すると、請求が止まることも多いようです。

2)違約金請求の事例

・完全成功報酬型で、採用が成功したら初めて報酬を支払う方式の人材紹介業者に人材紹介の依頼をした。そこから紹介された人物をいったんは不採用としたが、後日、同じ人物が別ルートで紹介されてきた際に、うっかり採用してしまった。その結果、最初の人材紹介業者から、違約金として300万円を請求された。気付かなかったこちらにも落ち度はあるが、違約金が高すぎるので何とかしてほしい。

こうした事例については、人材紹介業者による違約金の請求が認められた裁判例が存在します(東京地方裁判所令和3年11月30日判決など)。

そもそも、完全成功報酬型の人材紹介業者は、利用企業から成功報酬が適切に支払われることで事業を存続させています。意図的に成功報酬を踏み倒そうとする利用企業もいますから、人材紹介業者側としても、成功報酬が確実に支払われるように比較的高額な違約金を設定する必要性もあります。

このため、裁判例でも、利用企業側の「高すぎるのではないか」「暴利ではないか」などという主張は、排斥されています。(もちろん、必ず排斥されるということではなく、事情によりますので、弁護士に相談して対応を検討することは必要です)

求人難の時代において、完全成功報酬型の人材紹介は魅力的に見えるかもしれません。しかし、利用するのであれば、違約金のリスクを念頭に、利用企業全体で採用活動の管理を徹底する必要があります。

従業員を採用する事業所が複数ある場合や、採用担当者が複数いる企業では、「この人は以前に完全成功報酬型の人材紹介業者から紹介された人だ」と気付くことは困難です。また、違約金が生じることについても、事業所間・担当者間で共有されていないこともあるでしょう。そのような場合に、個々の担当者がうっかり気付かずに対象者を採用してしまったとしても、違約金は発生します。そして、一度に数百万円もの違約金を支払うことになれば、倒産せざるを得ない企業もあるでしょう。

年間の採用人数が少なく、採用担当者も一人しかいない企業なら、問題はないかもしれません。これに対し、従業員の出入りが多く一箇所で採用の管理ができないような企業では、違約金リスクが高すぎますので、このような完全成功報酬型の求人サイトを利用しない方が良いでしょう。

日頃から弁護士に相談できる体制を整えておきましょう

現在では、求人サイトや人材紹介業者のシステムも様々なものがあります。一見無料に見えるからといってそこに飛びつくのではなく、自社の実態に最も合った、リスクの少ないサービスを利用することが大切です。何より「どうして無料なのか」ということを良く考える必要があります。

上記のいずれの場合も、契約する前の段階で弁護士に相談をしていれば、リスクの説明を受けて慎重に対応することができたと思われます。

上記のように、ちょっとした「うっかり」から、数百万円の違約金支払いを求められて倒産の危機を招くこともあります。中小企業でも、普段から、経営全般に通じた弁護士に相談できる体制を整えておくことをお勧めします。

ベビースペース設置|SDGs ジェンダー平等を実現しよう

事務所のメンバーが出産したこともあり、事務所の会議室にベビースペースを設置しました。また、来所される皆様になるべく安全に会議室をご利用頂けるように、空気清浄機や加湿器も追加設置しています。

SDGsの目標5は「ジェンダー平等を実現しよう」(GENDER EQUALITY) というものです。子育て支援も、多くの場合、ここに位置づけられると思います。

もちろん、子育て支援は女性のみを支援するものではありません。当然、男性も子育てをしますし、先日の神奈川県のイベント「対話の広場」でも、シングルファーザーのことなどが話題に上っていました。

ただ、現実問題として、子育てにかける時間が男女で大きく異なる状況があります(神奈川県「男性による家事育児の実態と効果」)。また、子育てにも十分に時間をかけながら働きたいという女性もいるでしょう(もちろん男性も)。このため、社会全体での男女共同参画(ジェンダー平等)の推進にあたっては、やはり子育て支援が重要な役割を果たすことになります。

人口減少が進む中、今後は多くの業界で人材獲得が難しくなってきます。そうした中で、いかに魅力のある職場を作っていけるかが、人材獲得及び人材定着の大きな鍵になってくるでしょう。求人にお金をかけても、採用した人がすぐにやめてしまうことがあります。これに対し、魅力のある職場を作れれば、職員が定着してくれる可能性も高くなります。

子育て支援体制も職場の大きな魅力になり得ますから、求人にかける費用の一部を子育て支援にあてることを考えても良いでしょう。

こうしたことにご興味のある経営者の方は、是非一度、雑談をしにいらしてください。

※ベビースペースには除菌スプレー等を設置しております。定期的に清掃はしていますが、スペースや玩具の消毒等については自己責任でのご利用をお願いいたします。

2021年9月23日 テイクアウトによるこども食堂を開催しました(川崎市川崎区)

2021年9月23日(祝)のこども食堂(川崎市川崎区)は、天候にも恵まれ、無事実施できました。今回の提供数は58食で、これ以外に、大人の方の分を別途注文して頂いた方も複数いらっしゃいました。

ご協力頂いたWILD STOCKCafe IBISの両店には、ただでさえお忙しい中、たくさんのハンバーガーを作成していただきました。また、川崎区盛り上げ隊の皆様にも、WILD STOCK店舗で多大なご協力をいただきました。協賛をしていただいた皆様も、ありがとうございました。

今後も様々な工夫をして、継続的に活動していく予定です。引き続きよろしくお願いいたします。