公証役場で公正証書遺言を作成すると、公証人が遺言書の原本・正本・謄本という3通りの書面を作成し、遺言者には正本と謄本が交付されます。これらの違いは、以下の通りです。
原本
公正証書遺言の原本とは、遺言者、証人、通訳人、公証人がそれぞれ署名・押印した遺言書です。この原本は、公証役場に保管され、遺言者には渡されません。
正本
公正証書遺言を作成するときに、公証人は、原本と同じ効力をもつ正本を作成し、これを遺言者に交付します。
遺言執行の手続は、この正本を使って実施することになるので、遺言執行者を指定した場合はその執行者に正本を渡しておくとスムーズです。
正本を紛失してしまった場合は、公証役場で再発行できます。
謄本
公証人は、謄本を作成して、遺言者に交付します。謄本も原本の写しですが、正本のような、原本と同じ効力はありません。具体的には、金融機関での預金口座解約や法務局での不動産登記手続の際には、謄本では受け付けてくれません。
正本は紛失しないように大切に保管しておき、遺言の内容を確認する必要が生じたときには謄本を使用する、といった使い分けが想定されます。