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法治国家と破産

階段崩落事故 赤羽国交相「法治国家の前提が崩れる」 施工会社の破産申請に苦言(TBS系(JNN)) #Yahooニュース

大きな問題を起こした企業が破産するといえば、多くの人が憤りをおぼえるのは、感情や感覚として自然なことです。しかし、「法治国家」というのは、感情や感覚で動く国家のことではありません。

・今、この会社に建設を依頼する顧客がいるでしょうか?
・この会社が顧客を獲得できなかったら、経営は継続できるでしょうか?
・経営を継続できない会社が破産しなければどうなるのでしょうか?
・国や篤志家がこの会社に資金提供して、責任を取る手伝いをしてくれるのでしょうか?

どんなに世論が怒っても、お金は出てきません。また、こうした事件では「経営者が金を隠しているに違いない」という声も出ますが、仮にそういう証拠があったとして、誰がそのお金を回収して被害救済に回すのでしょうか。

結局、破綻した会社については、破産して、公の手続の下で判明した資産をお金に替えて、債権者に分配するのが最も公平で適正なのです。また、完成していない工事があれば、施主が別の業者に依頼できるように誰かが整理をしないと、混乱が拡大します。

むしろ、本当に無責任な経営者であれば、姿をくらませて、破産手続さえしないでしょう。すると、債権者は、債権を回収できるかできないか(建設の施主であれば、工事をしてくれるのかどうか)はっきりしないまま放置されることになります。

「破産は迷惑。」直感的には、誰でもそう思うでしょう。しかし、ほとんどの場合、経営破綻した会社が「破産しない」ことの方が、混乱を拡大させ、より多くの迷惑を生み出してしまうのです。

ニュースになっている件の詳細は分かりませんので、事件に関する具体的なコメントは控えます。ただ、一般論として、「法治国家」の下では、破綻した会社について破産という手続を選択することは債権者を含む全関係者にとって最も合理的な判断であることがほとんどです。むしろ、破産せず中途半端に放置されるのに比較すれば、破産をした方が様々な点で被害者救済につながる可能性もあることも、理解して頂きたいと思います。

投稿者:

弁護士 澄川 圭

神奈川県弁護士会(旧横浜弁護士会)川崎支部所属。企業法務、倒産事件、一般民事事件及び家事事件のほか、英語関連の業務(英文契約書等)も取り扱っております。