従業員の給料未払い(賃金未払)がある場合は、早期に弁護士に相談して下さい
企業の経営者にとって、従業員の生活を守ることは最も重要な使命の一つです。しかし、多くの企業の倒産事件を見ていると、何ヶ月も賃金を支払っていない企業も決して珍しくはありません。本来、賃金支払は最も優先されるべき支払の一つであり、給料を支払えない時点でその企業の経営はほぼ破綻していると言っても良いでしょう。従業員の保護のためにも、早急に、専門家に相談して対応を検討すべきです。
事業継続か、倒産か
事業を継続するためには、未払賃金を支払うことが大前提になります。給料を支払わなければ再建に向けた従業員の協力も得られません。つまり、賃金支払のための資金を確保する見通しが重要になります。基本的には事業計画を練り直して、金融機関と相談することになるでしょう。
資金を確保する見通しが立たない場合は、残念ながら、倒産を選択することになります。そして、下記のような理由で、倒産をするのであれば、とにかく迅速な決断と処理が重要になってきます。
未払賃金立替払制度
事業者(労災保険適用事業所)が破産した場合、未払賃金立替払の制度を利用すると、従業員が賃金の一部について立替払を受けられます。
しかし、裁判所への破産手続開始申立てをした日から6か月以上前に退職(解雇)した従業員については、この制度は利用できません。
つまり、解雇(事業停止等)をしてから6か月以内に裁判所に破産申立をしないと、従業員は受け取れるはずだった賃金を受け取れなくなってしまいます。事業者の破産申立は、準備だけで数か月かかるのが通常です。このため、賃金未払がある場合は、とにかく早期に弁護士に相談して下さい。
(参考)労働者健康安全機構のウェブサイト
https://www.johas.go.jp/chinginengo/miharai/tabid/687/Default.aspx