「事業が苦しいからお金を貸して欲しい」と頼まれたら

弁護士として、多数の企業の破産事件を見てきました。中小企業や個人事業者の破産事件では、経営者が知り合いから数百万円の借入をしているケースが相当数あります。ただ、そのお金はほんの1、2か月事業を延命させるために消費されてしまうことが多く、有効に使われることはほとんどありません。

お金を借りることで事業継続の見通しが立つのであれば、金融機関(銀行、信用金庫等)が融資をします。つまり、知人に借金を頼んでいる時点で、金融のプロから見てその事業の先行きが相当に厳しいということです。

もっとも、通常は、友人・知人に「お金を貸して」と頼むのは、相当に心理的ハードルが高い行為です。親しい友人から人としてそこまで頼られたときに、無碍に断るのも難しいかもしれません。

そういうときは、是非、「弁護士を交えて話そう」または「まずは弁護士に相談してみて」と提案してください。そして、それが嫌だと言われたら、お金を貸すべきではありません。

弁護士は、多くの破産事件を見ています。最後の最後に知り合いからも借りつくしてしまい、友人との信頼関係を失って、後の復活まで困難にしてしまっている経営者(破産者)も少なくありません。

そういうことが起きないように、事業が苦しい知人から相談された方は、「弁護士を交えて話そう」または「まずは弁護士に相談して」とアドバイスして頂ければ、と思います。

弁護士は、法律のプロであると同時に、混乱状況を整理するプロでもあります。弁護士と話をするだけ方向性が見えてくることも少なくありません。

※ 弁護士には守秘義務がありますので、同行者と一緒にお話を伺う場合は、必ず「同席で話すことで構わないか」という確認を取ります。

投稿者:

弁護士 澄川 圭

神奈川県弁護士会(旧横浜弁護士会)川崎支部所属。企業法務、倒産事件、一般民事事件及び家事事件。英語関連の業務(英文契約書等)も取り扱っております。