当法律事務所の年末年始休暇(2020~2021年)は以下の通りです。
2020年12月28日(月)まで通常営業
2020年12月29日(火)~2021年1月4日(月)まで年末年始休暇
2021年1月5日(火)から通常営業
旧年中はありがとうございました。
皆様、よいお年をお迎えください。
当法律事務所の年末年始休暇(2020~2021年)は以下の通りです。
2020年12月28日(月)まで通常営業
2020年12月29日(火)~2021年1月4日(月)まで年末年始休暇
2021年1月5日(火)から通常営業
旧年中はありがとうございました。
皆様、よいお年をお迎えください。
今年は大変な年でした。収入が減少するなどして、経済的に苦しい状況にある方もいらっしゃると思います。歳末助け合いということで、2020年12月24日(木)14時~17時に、クリスマス子ども食堂(食事配布)を実施予定です。子ども、学生、留学生に、ハンバーガーを無料提供します。(事前予約制)
食事の提供については、当事務所近くの「Wild Stock (ワイルドストック)」(松丸裕司さん)にご協力頂きます(川崎市川崎区東田町)。
提供メニューは、松丸さん特製のベーコンチーズバーガーです。申込み方法等の詳細は、こちらからご覧下さい。https://sumikawa.net/kawasaki_ticket/?page_id=152
親族の方が亡くなって相続が発生すると、相続人の方は財産だけでなく債務(借金)も引き継ぐことになります。
相続財産よりも債務の方が明らかに多いとき、相続人は相続放棄をすることができます。相続人が相続放棄をすると、初めから相続人とならなかったとみなされます(民法939条)。相続人は財産も一切もらえない代わりに、債務(借金)も引き継ぐ必要がなくなります。
ところが、亡くなった方にどの程度の債務があるか、ということは、はっきりと分からないことも多く、相続放棄をすべきかどうか悩ましいケースがあります。
こうしたときのために、民法には限定承認という制度も定められています(民法922条)。
限定承認をすると、相続人は、相続によって得た相続財産の限度でのみ被相続人の債務の負担を受け継ぐことになります。つまり、債務を弁済して相続財産が残れば、残ったものをもらえます。逆に、債務を全額弁済するだけの相続財産がなければ、相続財産がある分だけ弁済すれば済みます。
これだけ見ると、「いいとこ取り」の素晴らしい制度のように思えます。私も、大学に入って民法の勉強をした頃は、こんな素晴らしい制度があるのだから、誰もが相続放棄なんてせずに限定承認をするのではか、とまで思っていました。
しかし、現実には、限定承認はほとんど使われていません。日本では毎年140万人程度の方が亡くなりますが、限定承認の手続は年に数百件(近年は700件前後)程度です。
限定承認が使われない理由として、手続きに手間、費用及び時間がかかることが挙げられます。限定承認の手続きを行うには、申立人(相続人)が被相続人の資産を詳しく調査し、裁判所に詳細な報告書を提出する必要があります。また、手間をかけて債権者への支払も行う必要があります。さらに、税務上の手続きが非常に煩雑になることもあります。
そして、多大な時間と費用をかけて限定承認手続をした結果、1円ももらえないという結果になることもあるのです。
このように、限定承認は一見すると「いいとこ取り」の便利な制度のように見えても、実際には使える場面が限られます。
相続放棄は、一般市民にも広く知られている制度です。しかし、法律の字面だけを見ても分からないことも多々存在します。
例えば、限定承認や相続放棄をするには、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で申述をする必要があります(ここまでは民法に書いてあります)。ところが、3か月を過ぎてから多額の借金の存在が判明するようなケースもあります。法律の文面からは、こうしたケースではもはや相続放棄はできないようにも読めます。実際には、このような場合も家庭裁判所が相続放棄の申述を受け付けることも多いのです。
相続が発生して、相続放棄や限定承認を検討したいという場合は、なるべく早く弁護士に相談していただければと思います。
株式会社や合同会社について、日本語での一般的な読み仮名は「かぶしきがいしゃ」「ごうどうがいしゃ」です。ところが、英語表記にする際には「Kabushiki-Kaisha」や「Goudou-Kaisha」といった具合に濁点のつかない「かいしゃ」という読みにすることがあります。
法務省が公開している会社法の英訳でも、以下のようになっています。
第二章 会社の商号
(商号)
第六条 会社は、その名称を商号とする。
2 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
Chapter II Trade Name of Company
(Trade Name)
Article 6
(1) The name of a Company is its trade name.
(2) A Company must use in its trade name the words “Kabushiki-Kaisha”, “Gomei-Kaisha”, “Goushi-Kaisha” or “Goudou-Kaisha” respectively for Stock Company, General Partnership Company, Limited Partnership Company or Limited Liability Company.
日本語では、漢字名の読み仮名について公式に定められていないことも多く、国際取引をする際には様々な問題があります。
そもそも、人の氏名でさえ、漢字をどのように読むかは戸籍にも住民票にも記載されません。当事務所には、海外から債権回収の依頼が届くことがありますが、多くの場合は債務者のローマ字しか分からないので、戸籍や住民票による所在調査自体が困難なことも少なくありません。国際化が急速に進むにつれて、こうした読み仮名の問題も顕在化してくると思われます。
現在、全国的に空き家問題が深刻化しており、地方自治体は様々な対応を迫られています。その中でも、所有者が死亡して相続人が存在しない空き家や、所有者の行方が分からない空き家については、地方自治体が所有者に対応を求めることができません。このため、解説書等では、対応策として「家庭裁判所に相続財産管理人や不在者財産管理人を選任するよう申し立てる」ということが挙げられています。
民法を読めば、こうした事例で相続財産管理人や不在者財産管理人の選任申立てができる、ということは分かります。しかし、これらの管理人の具体的な業務内容等について、地方自治体にはあまり情報がなく(さらには解説書を書かれている学者の先生にも情報がなく)、実際に選任の申立をする際の具体的なイメージを描きづらいのではないかと思います。
そこで、弁護士として財産管理人に就任してきた経験から、少しイメージを書いてみようと思います。
まず、相続財産管理と不在者財産管理は、似通った制度ではありますが、財産管理人に就任する立場からすると、かなり違う部分があり、業務遂行の方向性も異なります。この最大の理由は、業務の目的が異なることにあります。
相続財産管理人の業務の目的は、相続人のいない相続財産について調査し、判明した財産を換価(現金化)して、債務(あれば)を弁済し、残余財産を国庫に帰属させることです。
不在者財産管理人の業務の目的は、行方の分からなくなった人(不在者)の財産について、不在者が戻ってくる(帰来する)まで管理を継続することです。
相続財産管理人が管理する財産については、相続人がいないことが前提となっているため、実質的な権利者は存在しません。(特別縁故者などの利害関係者は存在することがあります。)
不在者財産管理人が管理する財産については、所有者である「不在者」がどこかで生活していることが前提ですから、実質的な権利者が存在します。
空き家問題で、地方自治体が相続財産管理人や不在者財産管理人の選任を求める目的は、多くの場合、空き家の処分(売却)であると考えられます。
相続財産管理人は、そもそも、財産を全て現金化(売却)して債務弁済・国庫帰属させることを目的としていますから、空き家の処分(売却)について躊躇する理由はありません。その意味で、地方自治体の空き家対策とは親和性のある制度といえます。
これに対し、不在者財産管理人は、いつか戻ってくる不在者(権利者)のために財産を管理するのが目的です。仮に空き家について不在者財産管理人に選任されたからといって、おいそれと不在者の住居(帰住先)である空き家を処分することはできません。安易に処分してしまえば、責任問題にも発展しかねません。このため、不在者財産管理人は、相続財産管理人に比べて、地方自治体の空き家対策との親和性はないと考えられます。
上記のように、相続財産管理制度は直接的に空き家の処分につながりますので、空き家対策と親和性があります。このため、適切な事案があれば、地方自治体としても積極的に選任申立をしていくのが良いと考えます。なお、申立にあたっての問題点(申立権者・申立費用・予納金等)については別途書く予定です。
これに対し、不在者財産管理人については、上記のように、財産管理人が選任されてもおいそれとは空き家を処分できません。しかも、そのような状況の中で、財産管理の費用は嵩んでいくことになります。このため、「不在者財産管理人に空き家を処分してもらおう」という目的で選任申立をすることは、適切でないと考えます。(仮にそのような申立をするのであれば、申立段階で「不在者の資産状況に鑑みて当該不動産の処分が必要であること」を説明する必要があると考えられますが、当該不動産以外の資産状況を把握できない中でこのような説明をすることは困難でしょう。)
もっとも、地方自治体が行政代執行等をする場合に、名宛人として不在者財産管理人の選任を求めることは、あり得るでしょう。(ただし、不在者財産管理人を選任せずに略式代執行をすることもあり得ますので、状況に応じた検討が必要になります)
いずれの場合も、財産管理人選任により解決が可能かどうかという問題に加え、申立費用や予納金の問題もありますので、まずは弁護士に相談をしていただいた上で、申立にあたっては家庭裁判所とも事前協議をすることが望ましいと考えます。
この記事は、随時追記及び修正する予定です。