事務所の移転作業

澄川法律事務所は、2018年1月9日に、神奈川県川崎市川崎区砂子の旧事務所から、川崎区東田町の新事務所(ミヤダイビル2階)に移転します。電話番号やファックス番号に変更はありません。

1月6日から8日の三連休でパーティション設置や引越作業を行い、9日から新事務所での始業となります。新事務所は、旧事務所の3倍程度の広さがありますので、大人数での会議等も可能です。これまで以上に市民及び企業の皆様に貢献できる体制を整えていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

地域での事業承継のサポート

中小企業経営者の高齢化が社会問題となりつつあります。地域の経済を維持するために、地域の関係機関が協力をして事業承継を推進していくことが必要です。

地域の士業としても積極的に事業承継をサポートしていく必要がありますが、事業承継は単独の士業で対応できる話ではなく、士業間の連携が重要になります。また、対象となる事業の規模によっては、サポートする側の士業にも一定の規模(人数)が必要になることがあります。

澄川法律事務所は、2018年1月に事務所移転をすることとなりました。オフィスの面積は旧事務所の約3倍になり、30名程度が入れる会議室を設ける予定です。これに合わせ、新たに2名の司法修習生を採用しており、同月から弁護士として入所する見込です。

地域の事業承継を着実にサポートしていけるように、2018年は当事務所の以下の強みをよりいっそう洗練させる年にできればと思います。

・複数弁護士による対応(より規模の大きい事業承継にも対応)
・英語対応(海外取引のある事業の事業承継にも対応)
・他士業との連携及び情報交換

資金繰りが厳しくても、変な金融を頼るべきではありません

「個人融資掲示板」犯罪の温床に(北海道新聞) – Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171016-00010000-doshin-soci

私も事業者の端くれとして、経営者の方々の「何とか事業を継続したい」という気持ちは良く分かります。しかし、資金繰りに窮したときに、親族や友人から多額のお金を借りたり、変な金融に手を出したりすべきではありません。通常の金融機関が融資をしてくれないということは、通常は、その会社の事業について将来の見通しが立たないということです。そういう場合はいったん廃業(破産)も含めて検討をすべきです。

私は破産管財人あるいは申立代理人として、会社の破産手続を年に何件も見ます。その内の相当数の経営者が、破産直前に親族や友人(場合によっては従業員)から何百万円もお金を借りていたり、不法な金融業者からお金を借りていたりします。

資金繰りに窮したときには、よほど確実な入金の見通しがない限り、親族・友人・従業員からお金を借りてはいけません。

破産をしたら人生が終わりというわけではありません。その後も人生は続いていきます。最近は人手不足ですから、健康状態に問題がなければ生活費くらいは何とか稼げることが多いでしょう。雇われて給料をもらい、お金を貯めて再起することも可能です。

破産をした場合でも、子どもの学費などでどうしてもまとまったお金が必要になるケースもあります。破産の後数年間は金融機関がお金を貸してくれませんから、こういうときは、親族や友人に頼んで助けてもらうしかありません。

しかし、援助をしてくれる親族や友人も、無制限にお金を貸してくれるものではありません。そうした親族や友人が援助してくれるとすれば、それまでに経営者が誠実に築き上げてきた信頼関係や友情があるからでしょう。

困ったときに助けてくれる親族や友人は、破産しても失われない大切な財産です。その大切な親族や友人のお金を破産寸前の事業につぎ込んで無駄に使ってしまうと、お金を失うだけでなく、築き上げてきた大切な人間関係も破壊されかねません。

また、不法な金融業者については、そもそも回収が困難な状態であると分かっていながら「お金を貸します」と言ってくるわけですから、詐欺であったり、悪質な取立行為をする業者であったりして、決して事業継続の助けにはなりません。手数料と言われて何十万円もだまし取られたり、明日の30万円の支払のために200万円の自動車を持って行かれたりして、結果的には他のまともな債権者(上記のような親族・友人を含む)に多大な迷惑をかけることになります。

資金繰りに窮すると、頭の中は資金繰りのことだけになってしまい、経営者が不合理な行動をしてしまうのもやむを得ない面はあります。ただ、そうした中で、1時間でもとって、弁護士に相談していただければと思います。弁護士も、必ず破産を勧めるわけではありません。より適切な手段があるならそれに向けたアドバイスもします。また、弁護士と話す中で、一時でも冷静になって自らの事業計画を見つめ直せば、自ずと採るべき道も見えてくるかもしれません。

事業継続はもちろん大切なことですが、本来、事業は手段でしかないはずです。最後まで守るべきものは何か、よく考える必要があります。事業をほんの1, 2か月延命させるためだけに、本来なら守れたはずの大切な人間関係まで破壊してしまうのは、本当に残念なことです。

外国人・外国企業の創業支援

平成29年8月8日、川崎商工会議所で、川崎市内の行政機関や金融機関等にお集まりいただき、外国人創業支援に関する意見交換会を開催しました。錚々たる皆様にお集まり頂いた中、慣れない司会をさせていただきましたが、とりあえず無事に終えることができ、ほっとしました。(神奈川新聞 9日朝刊に記事が掲載されました

5年前に弊事務所の英語ウェブサイトを開設して以来、「日本での会社・子会社設立を支援して欲しい」という海外からの問い合わせが相当数寄せられており、この件数は、年を追うごとに増えてきています。小規模な法人設立の業務(及び関連する許認可の業務)は、どちらかというと司法書士や行政書士の領域であり、弁護士が関わるところはあまりありません。それでも、日本に興味をもち日本で経済活動をしたいという方々の助けになればと思い、何件かのサポートを行ってきました。

この際、依頼者からの情報を聴き取り、必要に応じてそれを行政書士や司法書士につなげて会社設立のサポートをするのですが、弁護士としての業務というよりはむしろ通訳や翻訳(ほぼボランティア)に手間を取られることも多かったため、正直なところ私にとってはペイしない業務でした。それでも、日本が好きで日本で起業したいという外国人と触れあい、彼らのビジネスに関わったことは非常に興味深い経験でしたし、酒類や化粧品など専門性の高い分野で活躍されている他士業の方々と一緒に仕事できたことも、貴重な財産となりました。

とはいえ、あまりこの分野に時間を割きすぎると本来の業務に影響が及んでしまいます。そこで、「依頼者と直接英語でやり取りできる士業でネットワークを作りたい」という気持ちが強くなり、数年前から色々な知り合いに「英語ができる士業の方を知りませんか」と尋ねるなどしてきました。その結果、数年かけて、英語で起業に関わる業務をされている各士業の方々とつながりができました。

今年3月に、川崎商工会議所において外国人創業支援研究会が発足し、外国人向けのウェブサイト(https://onestop-kawasaki.com/)も作成中です。今後、関係諸機関と協力をし、一件でも多く優良な企業を川崎に誘致して、川崎地域の発展に少しでも役立つことができればと考えています。

※上記の外国人向けサービスはワンストップサービスを目指すものですが、弁護士法及び弁護士職務基本規定の関係で、弁護士が事件を受任して報酬が発生するような場合は依頼者と弁護士の間の個別契約になります。(もっとも、今回の仕組みでは弁護士が受任し報酬が発生することはあまり予定されていません。)